成績を上げるために2
前回の続きをお話ししたいと思います。
多くの生徒は成績を上げるために塾に行きます。
そんなこと当たり前と思われるかもしれませんが、中には「仲のいい友達が行っているから」という理由で行く生徒もいるようです。
そして、「分からない所を教えてもらいたいから」個別指導塾に行く、家庭教師を付けるという生徒もいます。
「成績を上げるため」と「分からない所を教えてもらうため」では意味が違います。
(どちらも前向きなのは評価しますが。)
分からない所を教えてもらい、その時は理解できても、試験で自力で解けなければ成績は上がりません。
経験の浅い教師の場合、生徒から「分からない所があるので教えてください。」と言われれば、その問題がその生徒にとってどんなに難しい問題でも一生懸命教えると思います。
私も塾講師や家庭教師を始めたばかりの頃はそうでした。
でも、時間を掛けて一生懸命教えても、その生徒が自力で解けるようにならなければ成績は上がりません。
私は、どうすれば生徒1人1人が自分の力で解けるようになり、成績が上がるかを考えるようになりました。
そのため、この生徒にとっては難しすぎるな、もっと優先すべきことがあるな、と判断した場合は、「教えてほしい」と生徒に言われても、その時は教えないこともあります。
もちろん、理由はちゃんと説明します。「君にはもっと優先してやるべきことがあるよ。今の君にはまだまだ難しいから、今はまず基礎をしっかり身に付けないといけないよ。」というふうに。
それでも「どうしても教えてほしい。」と言ってきた場合や、ものすごく不満そうな顔をした場合は教えることもあるかもしれません。
ある高校生の例をお話ししましょう。
その高校生は学校では成績上位にいました。
学校の定期テストの前に数学を教えました。
この時、これはまずテストに出るだろうな、と思われる応用問題がありましたが、私はごく簡単に教科書を見ながら口頭で説明するだけにとどめました。
解法の手順はそれほど難しくはないものの、途中の計算などで時間を取られてしまいそうな問題でした。
その代わり、他の問題をしっかり復習させました。
生徒にもその旨を説明し、「もしテストでこの応用問題が出たら後回しにして、残り時間を見て、時間がなければ解かなくてもいいよ。その代わり、他の問題でケアレスミスしてないか、残り時間でよく見直しをしてね。」と言いました。
テストではまさにその問題が出ました。
結果は100点満点中95点でした。
その生徒は指示通りに実行し、最後のその問題には全く手を付けませんでした。
その代わり、しっかり見直しをして他の問題は完璧にできていました。
保護者様にテストの結果を報告し、この件についてお話ししたらとても喜んでおられました。
得点できる所で確実に得点する。これが大事です。