かけ算と累乗の話

以前勤めていた塾で他の講師から聞かれたことがあります。

「0乗をどうやって生徒に説明しますか?」と。

 

中学生に対して、単に「0乗は1だよ」と教えると、必ず「え?0乗は0じゃないんですか?」と言う生徒が出てきます。

 

累乗というのは、例えば、2の3乗とは2×2×2のことですが、私は生徒に教えるときに「2を3回かける」と教えています。

 

それならば、2の0乗は2を「0回かける」、つまり「何もかけない」のだから0になるのでは?と考えてもおかしくありません。

 

ですが、本来かけ算には「かける数」と「かけられる数」があります。(一つだけではかけ算になりませんので。)

 

小学校で習った記憶があるのですが、2×3(2かける3)の場合、2に3をかける、つまり、かける数が3で、かけ「られる」数が2です。(逆ではありません。)

 

では、少し前に戻って2の3乗、2×2×2を考えてみましょう。

 

これは、かけられる数2に2を「2回」かけている、と言えますね。「3乗」なのに、かけているのは「2回」と言えます。

 

もっと一般的に言って、2のn乗は2に2を(n-1)回かける、と言えます。ややこしいですね。

 

そうすると、「2を3回かける」という言い方は間違っているのでしょうか。

 

いいえ、そうではありません。厳密には「1に2を3回かける」と言えば問題ありません。

つまり1×2×2×2となります。計算結果は同じです。

一般的に言うと、2のn乗は1に2をn回かける、となります。

 

0乗の話しに戻ります。

2の0乗は「1に2を0回かける」、つまり「1に何もかけない」、だから答えは1となります。

実際この理屈はややこしいので、私は中学生には0乗を教えないようにしています。

 

高校数学の「指数」ではこんな教え方はしません。

 

指数法則と組み合わせて0乗が何かを導きます。

2022年10月31日