方程式

去年か一昨年だったと記憶してますが、ある方から電話をいただきまして、中学1年生のお子さんが学校で習っている方程式についての質問を受けました。

電話での話ということもあり、私はその方の質問しようとしていることが今一つ分かっていなかったのではないかと、後になって思いました。

後で思えば、その方の質問とは、「子供が学校で方程式を習っているが、なぜ方程式を作らねばならないのか意味を見い出せないようだ。どうしたらいいですか。」ということだったのではないかと思います。

この方のお子さんは、式を作らなくても文章を読んで見当をつけて答えを出せていたのかもしれませんね。


ここで一度小学生で習う問題を確認してみます。
 
〇+8=15 の時、〇に入る数は何ですか?というものです。

この問題は、足し算ができれば難なく解けます。8を足して15になる数は7しかありません。
または、引き算で考えて、15から8を引けば7と答えが出ます。

〇×4=8のようなかけ算の場合、
かけ算九九を使えば答えが出ます。この場合は「二四が八」で〇は2と分かります。
または割り算で考えて、8÷4をやれば答えが2と出ます。
ただし、ここで注意すべきは「かけ算の時は割ればいい」とだけ教えてはいけません。うっかりすると、4÷8とやってしまう可能性もあります。

ここまでなら〇をxとして方程式にして解く必要もないでしょう。

今度はもう少し複雑にします。
〇×3+2=14
こういう場合は〇×3を□に置き換えます。つまり、
□+2=14
として、まず□を求めます。□は12ですね。つまり、
□=12
そして、□を元に戻します。つまり、
〇×3=12 となるので
〇=4と分かります。

では、
(〇+2)×3=12はどうでしょうか。
この場合は〇+2を□に置き換えます。つまり
□×3=12
となるので、□=4と分かります。
そして□を元に戻します。つまり
〇+2=4となりますので、
〇=2と分かります。

さて、中学校では方程式の解き方を習います。

方程式を解く際には決まりがいくつかあります。


両辺をいれかえても等式が成り立つ。
両辺に同じ数を足したり、引いたり、かけたり、わったりしても等式が成り立つ。
というものです。


さらに「移項」というものも習います。

x+8=15は8を右辺に移項し
x=15―8
x=7
と解きます。
(何に8を足したら15になるだろうか?と考えずにやります。)
検算は最初の式にx=7を代入して確かめます。
つまり、7+8は確かに15になることを確認します。

2x=8は両辺を2で割って
2x÷2=8÷2
x=4
と解きます。
(2に何をかけたら8になるだろうか?と考えずにやります。)

または
2x=8の両辺に2分の1をかけてもいいです。

割るというのは逆数をかけるのと同じですから、特に係数が分数の場合は、私は両辺に係数の逆数をかける、と教えています。

方程式を作ることの利点は、式さえ作ってしまえば、後はどんなに複雑だろうとルールにのっとって機械的にやれば答えが出る、ということだと思います。

このルールを分かっていないと、
6x=3
の答えをx=2とやってしまったりするんですね。
どういうことかというと、6と3だけ見て、6÷3=2としてしまうんですね。
または6に何をかけたら3になるのかな?と悩んでしまう。
こういう生徒は要注意です。
教えている人は早めに気付いてあげましょう。


そして、答えを出すまでの過程をきちんと書かせましょう
6x=3
6x÷6=3÷6(数学が苦手な生徒にはこの行をきっちり書かせましょう。絶対に省略させてはいけません!(力説!))
x=1/2(2分の1)
(上で「÷6」は「×(6分の1)」でも正解ですよ。)
答えを出したら最初の式に代入させて検算させましょう。


連立方程式も同じで、(特に慣れないうちは)検算させましょう。
計算ミスの多い生徒には特に検算を徹底させましょう。

上の〇×3+2=14は
3x+2=14と式を作って
3x=14-2(+2を移項する)
3x=12
3x÷3=12÷3(両辺を同じ数3でわる)
x=4

とやれば□に置き換えて考える必要もありませんね。

文章問題の場合、値段や数の初歩的な問題では見当をつけることも可能です。

例えば、
「1個100円のりんごと1個80円のみかんを合計8個買ったら全部で740円でした。りんごとみかんはそれぞれ何個買いましたか。」
という問題です。
 
ここで式を作れない生徒はどうするかというと、考えられる個数を1つずつ当てはめていくんですね。


りんごが1個ならみかんは7個で合計は100円×1個+80円×7個で660円、
りんごが2個ならみかんは6個で合計は100円×2個+80円×6個で680円、
りんごが3個なら・・・
とやっていくとそのうち、問題に当てはまる答えが出ます。

りんごをx個として式を作ると、みかんは(8-x)個なので
100x+80(8-x)=740
となり、これを解けばx=5と求められます。
答えはりんご5個、みかん3個です。

しかし、問題が複雑になればなるほど、やはり方程式を作らないと解けなくなるでしょう。複雑な問題も式を作らずに解けたらその人は天才です。

さらには2年生になると連立方程式というのも習います。
これはもう式を作らないと難しいでしょう。

一部、当てはめてやる答えを出す方法もあるかもしれません。


例えば、
「十の位の数と一の位の数を足すと7になる2ケタの数があります。この数の十の位の数と一の位の数を入れ替えてできた数は元の数より27小さくなります。元の2ケタの数を求めなさい。」
という問題です。


足すと7になる数は1と6、2と5、3と4、
16なら十の位と一の位を入れかえて61、61-16=45だから問題に合わない。


25なら十の位と一の位を入れかえて52、52-25=27だから、これが答えだ!
答え25!とやったら間違いです。
元の数のほうが大きいのだから答えは52です。

連立方程式を作ると、
十の位の数をx、一の位の数をyとして
x+y=7
(10x+y)-(10y+x)=27
となります。

2023年09月01日