県立高校入試出題範囲について

福島県立高校入試の出題範囲が変更されました。

詳しくは福島県教育委員会のホームページに書いてあります。

新型コロナウィルスの影響で学校が休校になったりしたため、学習進度が遅れている、というのが理由で、範囲が一部除外されます。

この判断自体は妥当だと私は思います。

しかし、疑問に思うのはその内容です。

 

例えば、数学では3年の教科書(東京書籍)の最後の章「標本調査」が除外されます。ページ数で言うと約20ページです。

英語なら東京書籍のLet'sRead2とLet'sRead3の新出単語が除外されます。本文自体はページ数で言うと約10ページです。

一方で理科は指導要領の「科学技術と人間」「自然と人間」の部分、東京書籍の教科書なら約50ページが除外されます。

社会は東京書籍の約45ページが除外されます。

 

1つ目の疑問は、理科、社会はまだしも数学はこの程度の除外で足りるのかな?ということ。

理科、社会の時間を数学の授業に充てるつもりなのでしょうか?

また、夏休みの短縮や学校行事の縮小で授業時間をある程度確保したとしても、短い期間に詰め込むわけですから、授業に付いてこれない生徒もいるのではないか、と思います。

 

実際、私が教えている生徒の話を聞くと、完全に学校が再開した6月くらいから急に授業のスピードが早くなったように感じています。


2つ目の疑問は、新型コロナウィルスの感染がこの後も拡大し続け、またあちこちで休校になる、という可能性は考えていないのか?ということ。

 

現に今、都会では再び感染者が増えてきており、福島県内でも感染者が報告されています。ワクチンや特効薬が開発されるまでは、収まることはないと感じております。

 

数学の「標本調査」は学習しなくても高校に入って困ることはありません。おそらく理科、社会の除外となった部分もしかりです。

しかし、数学の「三平方の定理」や「2次関数」「相似な図形」は学習しておかないと、高校の数学へのつながりが悪くなります。

中学1年、2年の内容は次の学年でやることも可能でしょうが、3年の内容は中学でやっておかないと、高校側(高校の先生)の負担が増えます。(多くの高校の数学の先生は、中学数学を教えたことはないでしょう。)

つまり、高校への配慮もあるのかな?と勘ぐってしまいます。

 

私の提案

数学の出題範囲の除外部分を増やし、その分は高校1年で履修させる。

高校1年の内容の一部は2年で、2年の内容の一部は3年で、というふうに後ろに持っていく。

大学入試を意識するなら、どうせ普通科の高校は夏休みや春休みに課外授業をやるので、そこで調整し、高校の内容も含め3年で終わらせる。

もし再び休校などになった場合は、除外部分を増やし、上に書いたように次の学年で履修するようにする。場合によっては数学に限らず、高校3年の学習内容の一部を大学入試の範囲から削除するように、文部科学省から各大学へ指示する。

 

もっと言えば、この機会に、これは本当に中学校あるいは高校で習う必要があるのか?という声がもっと上がってきてもいいんじゃないか、と思っています。

 

かつてのセンター試験は変わりますが、今まで、なぜ人文系の大学に入りたい生徒にセンター試験で数学を課す必要があるのか?と思っていました。

例えば、かつてのセンター試験「数学Ⅰ」では「正弦定理・余弦定理」が使えることが必須でした。しかし、この定理の公式を覚えたところで、人文系の学生には試験以外になんの役にも立たないことは皆分かっていたはず・・・。

 

最近、新しい生活様式という事が言われるようになりました。

こういう危機の時代だからこそ、今まで当たり前だったことを考えなおし、教育にももっと新しい考え方ややり方を取り入れるべき時に来ていると思います。

2020年08月17日